そんな電話越しの会話から、構想~制作に至るまで、このプロジェクトへ一年ほどの時間を大切に掛けてきた。SOULにJAZZやREGGAEをPLAYするときにも、その選曲にどこかHIPHOPの洗練された都会のエッセンスを感じさせてくれて、何度となくフロアの端で心を射抜かれては、知ってる曲も知らない曲もその背景込みで聞こえてくる楽曲達に、GRINGOOSE氏のメロディに対する審美眼に、自分はどれほど感銘を受けてきたことだろう。代官山で聴いたLeon Haywood、下北沢で聴いたPhat Katのインスト、門司港で聴いたI Do Love YouとLet Me Prove My Love To You、MIXの最後に収録されていたOn a Sunday...「HIPHOPはゴールドだよ、だからGRINGOOSEは金歯があるでしょ?」「GRINGOOSEが一番好きなアーティストはJ Dillaらしいよ」数々のそんな都市伝説めいた話題の一つ一つに答え合わせをさせてもらいながら、制作の期間、それはあまりに有意義で貴重だったと言える時間を過ごさせてもらった。紡がれるサンプリングされたメロディ、ラッパーやシンガー達が歌うメロディ、レイドバックしたベースラインが奏でるメロディ、ザラついたノイズと重なるメロディ。このMIXのデモプレイを聞かせてもらっている時、ターンテーブルに向かうGRINGOOSE氏の背中越しに何度もISSUGIと目を合わせて頷き合った。それは自分達があの時代に吸い込んでた空気と、目の前で起きている最高とが、間違い無く繋がっていた事を確信した瞬間だったから。